環境科学会誌
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住民参加型オンサイト有害廃棄物,ダイオキシン類汚染処理における理系専門家の果たす役割
中地 重晴
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2004 年 17 巻 4 号 p. 295-303

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抄録

 全国各地でダイオキシン類やPCBによる土壌汚染や有害廃棄物の不法投棄が問題になっている。汚染土壌等の処理をめぐっては,安全性等に関して住民の不信感が根強く,処理の実施は難航しているところが多い。その中で,公害調停で住民が合意し,オンサイトでの汚染土壌や廃棄物の無害化処理が行なわれ始めた香川県豊島,和歌山県橋本市,大阪府能勢町の事例について無害化処理の進行状況を比較し,住民参加型のオンサイト処理のために,必要な要件をまとめた。その結果,無害化処理の三原則と呼ばれる(1)安全性(二次公害を出さない),(2)確実性(安定した処理技術),(3)住民関与(住民参加,情報公開を原則にした処理の実施)の三原則が必要条件であることを見出した。特に,住民関与を保証するためには,関係者によるリスクコミュニケーションが不可欠であることが重要である。このリスクコミュニケーションが円滑に行われるためには,理系研究者の果たすべき役割として解説者としてだけでなく,解決策をまとめる提案者としての役割も期待されている。

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