抄録
1995年以来,改良されたコアチューブを用いたオールコア・ボーリングにより埋立廃棄物の回収を実施してきた。回収された埋立廃棄物の観察および諸分析と浸出水の化学分析をとおして得られた結果は以下である。1)表面覆土層中には有機性廃棄物の発酵・分解によって生成し,上方移動してきたメタンがトラップされ,これが覆土の植生を貧弱にしている。2)木材・樹木剪定物・紙・繊維等の有機性廃棄物はほぼ原形を留めていたが,それらの廃棄物層中の間隙はメタンガスで占められていた。3)金属類が金属光沢を保っていたことは,埋立廃棄物が還元状態におかれている証拠の一つであると考えられる。4)埋立前焼却灰を構成するHalite,Sylvite,Hydrocalumite,Limeは溶脱・溶解反応により,消失していた。5)浸出水の主要イオンはNa+,K+,Mg2+,Ca2+,NH4+,Cl-,HCO3-,SO42-であり,重金属類は不検出であった。電気伝導率と相関の高いイオンは塩化物イオンであった。また,浸出水はほぼ中性を示した。6)廃プラスチックや破砕不燃残渣に由来する可塑剤が最終処分場に貯留され,浸出水中に溶出していた。とくに,DBPやTBXPの溶出は長期間にわたって継続すると考えられた。