2006 年 19 巻 6 号 p. 587-594
廃棄物の発生抑制あるいは発生回避の観点から,循環型社会の形成に向け現在までに進められている一連の政策の評価に関する研究成果のレビューを行った。環境経済・政策学分野における近年の研究成果のうち,若手研究者による成果を重点的に紹介しつつ,一連の政策の評価を試みた。評価対象とすべき政策としては,廃棄フローを狭くする対応である廃棄物処理政策と,廃棄フロー以外のフローを広くする対応であるリサイクル政策を選定した・その結果,廃棄物処理政策に関しては,未だに大量廃棄社会を支えてきた処理能力拡大主義が温存されていること,産業廃棄物税については課税による発生抑制効果の定量的な事後評価が必要であることが示された。また,リサイクル政策に関しては,家電のように導入後一定期間を経たものに関してはある程度の成果を確認できること,自動車のように導入後間もないものについては今後実態調査に基づく事後評価が必要であることが示された。加えて,近年急速に拡大している国際リサイクルへの対応が,今後のリサイクル政策の成否の鍵となることが確認された。