抄録
本稿は,都市化が生み出す様々な問題の一つであるヒートアイランド現象(Urban Heat Island Phenomenon)について,GIS・リモートセンシングデータを用い重回帰分析によって東京都および埼玉県南部の地表面構造が温度形成に与える影響の評価を試みた。使用した説明変数は,地表面構成物質の熱的特性値,人工排熱,緑被率,海からの平均距離,平均標高,建物構造パラメータである。目的変数としてLandsatTM(Thematic MapPer)/band6の輝度温度を用いた。また,建物構造パラメータを広域で算出することは困難であるため,本稿ではShuttle Radar Topography Mission(DTM)から数値地図50mメッシュ標高を差し引くことにより建物高度の推定を,細密数値情報(10mメッシュ土地利用)から建物用地の割合を,Japanese Earth Resources Satellite-1(Synthetic Aperture Radar)の後方散乱係数より建物粗度の推定を行った。 その結果,昼間の主要な輝度温度の形成要因として,建物高度緑被率,平均標高が,夜間の輝度温度の形成要因として,建物高度,緑被率,海からの平均距離,平均標高が挙げられた。