抄録
本稿では,国立大学農学系学部を対象として,環境科学の制度化の指標の一つである環境冠学科の設置動向を明らかにすることを目的とした。 科学研究のライフサイクル論及び大学政策の枠組みを用いて,農学系学部の環境冠学科の設置動向を俯瞰した上で,既に研究がなされている工学系学部の環境冠学科の設置動向と比較した。 その結果,農学系学部においては、第一次環境ブームと第二次環境ブームにおいて、環境に対する社会的関心の高揚と大学政策との相乗効果により設置ラッシュが生じたことが判明した。併せて,第一次環境ブームと第二次環境ブームでは,農学系学部の環境冠学科の学科系統に相違が見られること,後者においては工学系学部の環境冠学科の学科系統に類似していることが明らかとなった。