環境科学会誌
Online ISSN : 1884-5029
Print ISSN : 0915-0048
ISSN-L : 0915-0048
3R・廃棄物研究の到達点と今後
田崎 智宏
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 22 巻 2 号 p. 119-131

詳細
抄録
 本稿では,これまでの3R・廃棄物研究を振り返るとともに,今後の研究展望を行った。まず,過去の廃棄物処理の歴史をたどりながら,どのような視点での研究が進められてきたかを整理した。1900年代は工学によるエンドオブパイプ的な研究が重要な役割を果たしたが,3Rの重要性が認識されてきた1990年代以降の3R・廃棄物研究は学際的かつ多彩な傾向を強めてきていることが確認された。次に,対策の優先順位における対策の種類すなわちリデュース,リユース,リサイクル,適正処理や新しいキーワードなどの視点に着目し,これまでの研究分野と今後発展させるべき研究分野を論じた。リデュースに関わる研究としては廃棄物発生要因,対策効果,対策設計の3つの研究群,また,リユースに関わる研究として技術,品質確保,意識・行動などといった6つの研究群リサイクルについては技術開発,制度実態,制度設計などといった4つの研究群を主な研究群として捉え,それぞれの現状や課題等を考察した。キーワードとしては,例えば,政策的にはビジョン提示型やマネジメント,参加型アプローチといった研究,技術的には高度化,低コスト化,システム志向といった研究が重要になってくると考えられた。その一方で,学会等の連携は必ずしも十分でないことを指摘した。
著者関連情報
© 環境科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top