環境科学会誌
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水田からのメタン発生に関する研究(第1報)
―施肥の種類,生育段階,中干しの影響:ポット実験―
木村 眞人三浦 吉則渡辺 彰加藤 武史原口 紘煕
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1991 年 4 巻 4 号 p. 265-271

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抄録

 近年,温室効果ガスの1つとしてメタンが注目されており,その最大の発生源である水田圃場からの発生量推定,季節変動が活発に研究されている。本報告においては水田からのメタン発生に及ぼす土壌の種類(福島灰色低地土,安城褐色低地土),施肥の種類(稲わら,『堆肥,化学肥料,無肥料),生育段階,中干しの各影響をポット実験により調査した。得られた結果は以下の通りである。1) 対照として準備した無作付ポットからのメタン発生量は作付区の1/3~1/500の低い値であった。2) メタン発生に及ぼす土壌間差は明らかでなかった。3) 作付区間で比較すると,出穂期までのメタン発生量は稲わら区が他の区に比べて著しく高い値を示した。他方,化学肥料区では生育段階とともに徐々に増加し,出穂期以降稲わら区に匹敵する高い値を維持した。堆肥区からのメタン発生量およびパターンは化学肥料区と類似したものであった。4) 無肥料区は全生育期間を通じメタン発生量は僅かであった。5) 出穂期を境とするメタン発生量の処理区間の比較より,土壌型や施肥の種類の影響は出穂期以前に現れ,通常(稲わら区を除き)その発生量は出穂期以降に比べ少ないこと,出穂期以降の発生量:は処理区間で大差無く何れの区も大きな値であった。6) 短期間の中干しにより顕著にメタン発生量が抑制された。

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