環境科学会誌
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水質汚濁評価を目的としたいくつかの生物群集分析手法の比較
A Comparative Study on Some Ecological Methodsof Evaluation of Water Pollution
加藤 和弘
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1992 年 5 巻 2 号 p. 91-98

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抄録

 水質汚濁の評価を目的とした生物群集の解析手法のうち,多変量解析の一手法である対応分析と,生物指数のうちのベックの生物指数,パントル・バックの汚濁指数,シャノン及びシンプソンの多様性指数について,指標生物として珪藻と底生無脊椎動物を用い,指標生物間の違いも含めて各手法の性質を検討した。多様性指数はこれまで多くの研究で環境の指標として用いられてきたが,本研究においては,他の手法に比べて水質汚濁を指標する能力は劣っていた。また,生物群集の解析により得られる指数,スコアの変動は,単一の水質項目の測定値だけでは十分に説明できず,CODと電気伝導度を併せて考慮することにより,より良好な説明が可能となった。底生無脊椎動物は,珪藻と異なり河床の堆積物の影響を受けており,そのことが水質の評価結果にも影響を及ぼしていた。

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