抄録
屋外で建築材料等に最も多く使用されている鋼材について,百葉箱内(屋内)での大気暴露実験,屋外での大気暴露実験を同時に実施して,屋内での鋼の大気腐食特性を調査した。 屋内の腐食特性は降水の影響は直接受けることがないため,屋外と比較して大気汚染物質測定値とより密接な関係を有しており,大気汚染項目の測定結果から導いた重回帰式により求めた1年暴露の腐食速度は実測値とよく一致した。 多年数暴露の屋内の鋼の腐食は暴露開始直後の2,3年までは屋外よりも腐食速度は低いが,その後は屋外暴露の腐食速度と殆ど同程度の腐食速度を示し,鋼の腐食は屋内でも'かなり速いことが分かった。この結果から屋内で使用されている鋼材については,長期の腐食対策が重要であることが示唆された。