抄録
大気汚染物質の重要な指標であるNO2(二酸化窒素)濃度の短期暴露測定法の1つである天谷式簡易測定法の検討を試みた。大気中のNO2濃度が比較的低い場合(<7ppb),同一地点に設置された5つのNO2捕集管の測定値の変動係数は大きくばらついたが,NO2濃度が7ppb以上では変動係数は13%以下におさまった。また,暴露時間を通常の24時間以上にした場合,暴露時間の長さに反比例して,捕集管の捕集効率の低下がみられ,また,変動係数が増大した。大気測定局と同一地点で実施された24時間の簡易測定によるNO2濃度値(x)は,大気測定局の値(y)と良い相関(r=0.82)を示し,両者にはy=0.73x+0.14という関係がみられた。しかし,気象条件によっては,この簡易測定によるNO2濃度の捕集効率が低下する場合もみられた。