環境科学会誌
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屋外におけるB領域紫外線(UV-B)増加がイネ葉の抗酸化物質および関連酵素活性に及ぼす影響
金 學潤小林 和彦野内 勇米山 忠克
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1996 年 9 巻 1 号 p. 73-78

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抄録
 屋外における,B領域紫外線(UV-B)量の増加に対するイネの防御反応を調べるため,水田で栽培した品種コシヒカリのほぼ全生育期間にわたり調光型UV-B照射装置を用いて照射実験を行った。UV-B照射期間は119日であり,同期間中のUV-Bの増加は対照区の2.3倍で,成層圏のオゾン層が38%減少した時のuv-B放射量の増加に相当した。UV-Bの増加は,イネのどの生長パラメーターにも有意な影響を与えなかった。UV-Bの増加によって,止め葉の還元型アスコルビン酸の含量が減少するとともに酸化型アスコルビン酸の含量が増加したが,グルタチオンの含量は,還元型,酸化型ともに影響を受けなかった。また,活性酸素解毒酵素のうちアスコルビン酸パーオキシターゼ,モノデヒドロアスコルビン酸レダクターゼ,デヒドロアスコルビン酸レダクターゼ,グルタチオンレダクターゼ,スーパーオキシドデムターゼ,グアイアコールパーオキシターゼの活性を調べたが,いずれもUV-B照射による有意な変化は見られなかった。
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