日仏経営学会誌
Online ISSN : 2434-5601
Print ISSN : 0915-1206
フランスの「離島」における流通業を研究するための視点に関する素描
ニューカレドニアの事例
乗川 聡
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2024 年 41 巻 p. 24-54

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抄録
本稿は、ニューカレドニアにおける流通業の現状と、それをより深く研究するための「視点」を提供することを目的とするものである。ニューカレドニアはフランス領において「特別共同体」と位置付けられ、豊かな自然が残され、先住民カナックの生活習慣が尊重される一方、都市部においては流通業が発達し、フランス本土並みの消費生活を住民に提供している。  本稿では、このようなニューカレドニアの流通業をより深く分析するため、①島嶼性概念、②観光業の影響、③EUおよびフランスによる援助、④植民地経営の影響、という4つの視点から、関連する情報を示した。いずれの情報も断片的であるため、ここから何らかの確証を持つ分析結果は示されていないが、行論から、①植民地化直後のニューカレドニアにおけるマルシェとサン=シモン主義の関係、②同地の経済発展におけるバランド商会(Etablissement Ballande)の重要性、そして③戦前期における日本人移民の活躍、の3点を、ニューカレドニア流通業における興味深い研究課題として示した。
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© 2024 執筆者
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