抄録
【目的】睡眠時ブラキシズム(SB)の筋電図検査における筋活動量の標準化の手段として,最大随意咬みしめ(MVC)時の筋活動量に対する相対値(%MVC値)が使われることが多い.本研究では,覚醒時に発揮される最大咬合力とSBの%MVC値との関係を明らかにするため,両者の相関を求めた.
【方法】被験者はSBを有する患者29名である.咬筋筋電図を含めた通法の音声・ビデオ付き睡眠ポリグラフ検査を行い,夜間咬筋筋電図波形を抽出した.波形を真のSBと判定された波形(SBB),2連続以下のphasic波形(POE),睡眠時におけるSBB以外の波形(OMB),入眠後の中途覚醒期の波形(WB)に分け,%MVC値の平均(平均%MVC値)および最大の波形の%MVC値(最大波形%MVC値)を求めた.最大咬合力の測定にはデンタルプレスケール®を用いた.
【結果】SBB,POE,OMB,WB群,さらに全体波形において,最大咬合力が小さい程,平均%MVC値は大きい値を示し,有意な負の相関がみられた.また,最大波形%MVC 値においても同様の傾向を認め,SBB群,POE群,OMB群,および全体波形において有意な負の相関がみられた.
【結論】SBの筋電図%MVC値表示では,最大咬合力が弱い場合にはブラキシズム時に実際に加わっている力が過大評価,強い場合には過小評価される可能性が示され,表示結果の解釈においてはその点への配慮が必要と考えられた.