日本顎口腔機能学会雑誌
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近赤外分光法を用いた筋組織酸素動態の計測
山本 克之
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2006 年 12 巻 2 号 p. 93-99

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抄録
近赤外分光法 (NIRS) は非侵襲かつ簡便な組織酸素濃度測定法として脳, 筋を対象に多くの応用が試みられている.本稿では, NIRSの原理と実用上の問題点について概観する.頭蓋や脂肪層などの介在組織はNIRS測定値に大きな影響を及ぼし, 定量計測のための最も大きな障害となる.われわれは, 筋組織酸素濃度計測における脂肪層の影響を系統的に解析し, その補正法を提案してきた.その応用例として, 1) 一流運動選手と一般成人における運度後の筋酸素濃度回復速度の比較, および運動選手における高地トレーニング効果, 2) 運動時の筋組織酸素消費量の局所的計測, 3) 筋組織酸素濃度イメージング装置の開発と筋代謝の時空間解析について紹介する.NIRS測定には多くの要素が絡んでいるが, 適当な補正法を用いるならば実用範囲で定量計測が可能であり, 基礎, 臨床の多くの分野にNIRSの活用が期待できる.
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