抄録
顎関節症発症の初発期である思春期を対象に, 顎関節症症状と平衡機能の調査を行い, 両者の関係を検討するとともに, 開咬を認める者の平衡機能についての検討も行った結果, 以下のような結論を得た.
1. 対照群と比較して疼痛群では, 外周面積が5%の危険率で有意に大きく, 単位面積軌跡長が1%の危険率で有意に小さい値を示したが, いずれも時田の示した健常者の標準偏差内の値だった.
2. 対照群と比較して雑音群では, 単位面積軌跡長が1%の危険率で有意に小さい値を示したが, 疼痛群と同様, 時田の示した健常者の標準偏差の範囲内の値だった.
3. 対照群と比較して開咬群では, 全ての検査項目で有意差はないものの, 外周面積は大きく, 単位面積軌跡長は小さい傾向が認められた.
このように, 顎関節症ならびに開咬は, 平衡機能と何らかの関係をもっている可能性が示唆された.