2020 年 35 巻 p. 47-63
本稿は、幼児雑誌『幼稚園』の付録の経年比較分析から、付録における子ども像の表象の変遷と、その背景を明らかにすることを目的とする。
分析と考察の結果、「教材」系付録と「玩具」系付録が併存・融合し“家庭でも遊びつつ学習する存在”としての子ども像が表象されていた1950年代まで、「玩具」系付録が独占状況となり“家庭外で学習する存在”としての子ども像が表象されていた1960年代、「にんきもの」系付録が増加し“メディアを通して遊び消費する存在”としての子ども像が表象されていた1970年代以降、「ほんもの」性を強調した付録と「コラボ付録」が登場し“複合体化した消費のターゲット”としての子ども像が表象されていた2010年代という、付録と子ども像の変遷が明らかとなった。また、こうした変遷の背景には、幼児教育における理念の変化、幼児の生活世界へのテレビの進出とメディアミックス状況、消費社会化の拡大があることが示唆された。