社会学研究
Online ISSN : 2436-5688
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特集 東日本大震災以降の社会理論の課題
自然災害における被災者支援と社会的包摂
板倉 有紀
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2014 年 94 巻 p. 109-132

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抄録

 本稿では、東日本大震災を経ての社会理論の課題として、「機能分化とリスク」という観点から、特に地域社会に照準して災害時要援護者・災害弱者の「包摂と排除」についてとりあげる。機能分化論において議論される「蓄積的排除」という事態について先行研究をふまえて考察し、自然災害における被害のあり方と関連づけて論じる。その上で、自然災害における「蓄積的排除」に抗する支援体制を、地域社会を基盤として構築していくさいの課題と方向性について、災害時要援護者対策や東日本大震災以降の動向をとりあげながら考察する。以上をとおして、東日本大震災をめぐる社会理論の一つの方向性と、経験的な課題としての災害時要援護者・災害弱者支援の接点を提示したい。

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© 2014 東北社会学研究会
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