2015 年 96 巻 p. 193-220
本稿では、日本の新規大卒就職において、OBへのアクセスとその効果に格差が存在するのかどうかを検証した。一九八八-二〇〇六年に初職についた大卒者を対象に、代表性のあるJLPSデータを用いて分析を行った。
まず、OBへのアクセスについて検討した。その結果、高ランク大学の社会科学系への所属、サークル・部活動への熱心な参加によって、OBへのアクセスが促された。
次に、大企業・官公庁への入職に対するOB利用の効果を検討した。その結果、OB利用の主効果が見られる一方で、大学ランクとOB利用の交互作用効果は確認されなかった。
このように、OBへのアクセスには、高ランク大学の社会科学系か否かによって大きな格差が存在する一方で、OB利用の効果には、そのような格差は見られなかった。さらに、本稿の知見は、サークル・部活を経由するネットワーキングが、OBへのアクセス機会を増やす可能性を示唆している。