本報では,第3報の実験条件を参考にして自然熱回収と強制熱回収の温度形成,熱回収率などを数値計算によって求め,家屋直下型の長期蓄熱効果について検討した.自然熱回収においては家屋内温度がどれだけ高く維持できるかが問題であるが,その温度は札幌の真冬で0℃程度になり,長期蓄熱効果が顕著に現れなかった.強制熱回収においては熱回収率が問題になる.埋設管からの採熱量は投入熱量を上回ったが,家屋から土壌へ向かう還元熱量が存在した.採熱量から還元熱量を差し引いた正味の家屋取得熱量に対する熱回収率は,床を保温しない場合で約0.52,床を保温した場合で約0.97であった.強制熱回収方式では家屋と土壌の間を十分保温する必要がある.なお,この熱回収率は土壌の保有熱量から直接熱をくみ上げている分を含んでおり,見かけ上の熱回収率と言える.蓄熱を行わない直接採熱方式と比較することによって,家屋直下型の長期蓄熱効果を検討した.