抄録
集合住宅の共用排気ダクト設計手法に関し,模型実験と数値計算による検討を行い,以下のことを明らかにした.(1)各種合流形式(エルボ合流,直管合流)の合流損失係数と風速比,面積比の関係を簡潔な近似式で表現した.(2)共用ダクトの合流損失は,直管合流の場合は損失となり,エルボ合流の場合は利得となる.したがって,エルボ合流の場合は上階方向に圧力上昇が生じ,他住戸へ逆流する可能性が大きくなるので,合流形式は直管合流が望ましい.(3)共用ダクト寸法,屋上ファンを適切に選定し,屋上ファン直前の静圧を検知して回転数制御を行えば,浮力や各住戸の排気ファン運転パターンの変化にかかわらず,共用ダクト内静圧を一定の範囲に保つことが可能である.