1992 年 17 巻 50 号 p. 53-61
帯水層による蓄熱は長期的蓄熱を考えるうえで重要な役割を担っている.本研究は帯水層の蓄熱および熱利用率を長期的に測定してその効果を明らかにし,併せて帯水層井戸と観測井戸を通じて帯水層の熱挙動と蓄熱過程を調べたものである.本帯水層は温熱利用を目的としたものであり,7年以上の運転実績をもっている.測定結果によると1989年冬期5箇月間のくみ上げ量は5800m^3,くみ上げ熱量は172Gcalであり,注入熱量に対する熱利用率は約53%である.また,注入平均温度は46.1℃であり,くみ上げ温度は43.1℃から36.7℃までと温度降下が少ない.長期蓄熱効果が現れているものと思われる.