空気調和・衛生工学会 論文集
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オフィスにおける自然換気併用ハイブリッド空調に関する研究 : 第2報-各種設定条件が室内環境と期間のエネルギー使用に与える影響
張 賢在加藤 信介近本 智行
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2003 年 28 巻 88 号 p. 63-72

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抄録

本研究では自然換気併用ハイブリッド空調の設計資料を得るため、前報に引き続きオフィスビルにおけるハイブリッド空調時の空調方式や室内発熱量およびオフィス奥行きの変化が、室内温熱環境と空調投入熱量に及ぼす影響をCFD解析により検討する。その結果、自然換気口を室上部に設置し空調方式を床吹出し・天井吸込みとする方式が、タスク域を効率よく冷却し省エネルギー的であることが示された。オフィス奥行きが深くなり、また室内発熱量が増加すると空調の室内投入熱量は大きくなるが、室上部に設けられた自然換気流出口からの効果的な排熱により、その増加の程度は室内一様混合の場合より低くなる。前報および本報での検討結果から、自然換気併用ハイブリッド空調による期間の空調エネルギー削減効果を評価するためにエネルギーシミュレーションを行う。この際、自然換気併用ハイブリッド空調の特徴である室内の温度分布形成効果を表すための空調負荷モデルを作成する。これは室内一様拡散を仮定する従来の計算法に対し、室内温度分布生成を考慮したものである。この空調負荷モデルにより、オフィスビルを対象とする年間エネルギーシミュレーションを行う。その結果、変風量(VAV)方式空調ではハイブリッド空調の導入により年間16%の冷房用電力が節約されることが示された。

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© 2003 公益社団法人 空気調和・衛生工学会
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