空気調和・衛生工学会 論文集
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大規模・複雑形状に対応する対流・放射連成シミュレーション用放射伝熱解析法の開発 : 第1報-モンテカルロ法をベースとした高精度放射伝熱解析法
大森 敏明梁 禎訓加藤 信介村上 周三
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2003 年 28 巻 88 号 p. 103-113

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抄録

本研究は、大規模で複雑な形状を有する解析対象を高精度で対流・放射連成シミュレーションを行う際に必要となる放射伝熱解析法を提案・確立することを目的とする。そのため、実人体形状を有する人体モデル周囲の温熱環境の解析にこれを適用し、その実用性と妥当性を示す。本報では、まず、三次元閉空間における大規模・複雑形状を対象とした放射伝熱解析にとって重要な放射交換係数(直接交換面積、全交換面積)の算出法を示す。ついで、大規模シミュレーションで不可欠となる、流体解析用の固体面要素を複数個集合して放射解析用の要素とするグルーピングに基づく放射交換係数格納数の削減法を示す。また、これらの手法を用いて実際の人体形状を極力模擬して作成した立位裸体人体モデルに対して算出した放射交換係数の特性について報告する。第2報では、立位裸体状態の精密人体モデルの投影面積率と有効放射面積率を算出して既往の研究と比較し、放射熱輸送におけるこの人体モデルの妥当性を評価する。また、このモデルを静穏室の中心に置いた場合の温熱環境を、放射解析と低レイノルズ数型k-ε乱流モデルに基づく流体解析を連成させ、人体から周辺環境への顕熱伝達特性を詳細に検討する。この検討の過程で、放射交換係数にグルーピングを施した場合の解析結果への影響を評価・検討する。第3報では、サーマルマネキンを用いた実験結果と本解析による結果を比較し、本研究で提案した放射伝熱解析法の妥当性を検討する。

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© 2003 公益社団法人 空気調和・衛生工学会
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