2006 年 31 巻 110 号 p. 1-8
デシカント空調システムは空調機内及び室内において非結露環境を実現することが可能であるため、カビ、細菌等による建物内のIAQ(Indoor Air Quality)の低下を改善するに有効な方式とみられている。しかし、一般のデシカント空調機は効率(COP)が1以下であり、省エネルギーの観点からみると、除湿ロータ再生用のエネルギーとしてコージェネレーション等による低温排熱の利用ができない限り、通常のヒートポンプを用いた冷却減湿システムの効率には及ばない。本研究では、CO_2ヒートポンプをデシカント空調システムに組み込み、低温排熱が得られない場合にも安定した再生用エネルギーが供給出来る高効率のデシカント空調システムを提案する。デシカント空調機で除湿の際発生する吸着熱を除去(冷却)するためにCO_2ヒートポンプを使用するが、その際CO_2ヒートポンプにて発生する排熱を除湿ロータの再生に用いるシステムである。安定した省エネルギー性を確保しながら建物内及び空調システム内を非結露化し、IAQの向上を図れる。CO_2ヒートポンプを採用することにより、除湿ロータの再生に高温排熱(70℃以上)を利用することができる。本報では、室内及び空調機内における微生物汚染の実態と対策などに関する調査結果及び各機器(除湿ロータ、CO_2ヒートポンプ熱交換器)の性能に基づいてCO_2ヒートポンプ組み込方式の性能予測を行った結果を報告する。