2006 年 31 巻 110 号 p. 9-16
本研究は、従来型パーソナル空調の問題点を解明し、快適かつ省エネルギー的な新たなパーソナル空調システムの開発を目的としている。パーソナル空調の長時間の使用により、快適感が損なわれ、エネルギーを不必要に浪費することを防ぐためのパーソナル空調の制御方法を検討するため、熱的不快状態から熱的中立状態に達するまでの時間"緩和時間"の検討を行った。実験室による被験者実験の結果、歩行に伴う熱的不快状態から着座し、この不快感をパーソナル空調により約5〜10分で緩和することを明らかにした。しかし、今回用いたパーソナル空調では緩和時間到達後2,3分程度経過すると快適感が低下する傾向が見られた。実験後のアンケート調査の結果では、目の乾燥が最も大きな原因であり、それ以外にも寒さ・気流による不快感が問題点とされていることを確認した。