2006 年 31 巻 115 号 p. 19-24
空調設備設計の際に用いられる熱負荷計算では非常に複雑である伝熱現象を単純化して扱っている。特に放射熱伝達は放射熱伝達率を用いて壁面温度と室内空気温度との関係として表現される。また放射熱伝達率はほとんどのケースで一定の値が用いられている。しかし放射熱伝達は本来物体表面間のみで起こる熱移動現象であるため、壁面温度と空気温度の関係で実現象を充分に捉えているか、また様々な条件下で一定の放射熱伝達率が適用できるかなど、検討の余地がある。本研究ではCFD解析に基づく放射熱伝達率の算出方法を示し、事務室空間における放射熱伝達率について検討を行う。