空気調和・衛生工学会 論文集
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高齢者施設における主要室内空気質の測定と加湿滅菌システムの適用
吉岡 誠記横山 真太郎小口 智
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2009 年 34 巻 146 号 p. 13-21

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抄録

わが国では人口構成の高齢化が進んでおり、今後、社会福祉施設を利用する数の増加が予想される。一方、近年では室内環境における微生物汚染が着目されており、例えば一般に易感染者とされる高齢者を中心とする社会福祉施設においては、重症かつ大規模な被害の可能性も考えられる。そこで、我々は札幌市東区にある老人保健施設を対象に、ビル管法で室内における濃度基準が定められている項目に加え、一般に室内空気汚染の指標として取り上げられることが多いと思われる室内浮遊微生物や自然放射性物質などを加えた項目を主要室内空気質として、その測定調査を実施し、その実態の調査を行った。この結果、冬期では非常に低湿度傾向にあることが確認された。続いて、このような低湿環境においては細菌やウィルスに対する抵抗力が低下すること多くなることが考えられるため、施設内感染対策に関連した室内空気環境における微生物制御を念頭に、加湿・滅菌複合システムの開発を行った。そして本システムの有効性の考察およびその活用法の具体的手順の提示を目的とし、同施設での導入実験を行い、湿度レベルの保持とともに浮遊微生物数の減少に効果がみられることを確認した。

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© 2009 公益社団法人 空気調和・衛生工学会
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