NBCテロリズムにおける消防救助活動の一つに被災者の除染がある.対象とする化学剤が気体の場合には乾的除染,液体の場合には水除染を行うことが一般的であるが,両手法共に除染に時間がかかることが予想され,除染所要時間の大幅な短縮が被災者救命・救助のための大きな課題となっている.本研究では,最も多数の被災者が発生することが懸念されるガス体による汚染の場合を想定した,従来の乾的除染に代わる,もしくは併用可能な簡易的かつ即効的な除染として,風除染システムを提案する.特に本報では,風除染システムの基本性能を決定する上で必要となる強制対流場における人体表面からの汚染物質脱離効率評価に向けて,その基礎データとなる人体各部位の対流熱伝達率を風洞実験にて計測した結果を報告する.更に,同条件のCFD解析を実施することで,強風条件下での対流熱伝達率予測に適用可能な乱流モデルの検討を行った結果を併せて報告する.