室内における非喫煙者の受動喫煙が問題視されており,それを防止するための分煙対策がとられている。喫煙空間と非喫煙空間の境界領域において,厚生労働省のガイドラインは,喫煙室等に向かう風速(境界風速)を0.2m/s以上に保つように定めている。本研究では飲食店を想定し,排気量が制御可能な喫煙空間および非喫煙空間からなる試験室において,店員を模したサーマルマネキンが扉の設置されていない両空間の境界面を通過する場合に,冷房期において境界風速が環境たばこ煙(ETS)の動的挙動に及ぼす影響について検証した。その結果,喫煙空間側ACの吹出口の調整や排気口位置の最適化,境界面への電子エアカーテンの設置を行うことで,境界風速0.2m/s未満の低境界風速条件においても一定の分煙効果が得られることが示された。