2018 年 43 巻 256 号 p. 37-43
BEMS の普及により空調設備で消費されるエネルギーの見える化が進んだ。これらデータを用いて継続して性能検証を行い,得られた課題を運転に反映させることは,対象となる施設の省エネ化を進める上で有効である。そこで本研究では工場に導入された水蓄熱式空調システムを対象とし,前報では夏季の熱源出口温度制御の安定化に向けた取り組みと得られた省エネ効果について報告した。本報では熱源出口温度制御の改善に加えて,冬季の夜間に起動する凍結防止運転の流量を調整した結果,得られた効果について報告する。BEMS データから得られた凍結防止運転の流量と往還温度から,冷温水配管が凍結しないことを前提に流量調整を行ったところ,夜間の蓄熱量が改善され,熱源機の部分負荷運転を回避できる可能性が高まった。