2018 年 43 巻 259 号 p. 1-9
本研究では,ZEB の実現・普及を目的に,そのパイロットビルとして建設した実証建物において,運用段階におけるエネルギー性能を分析する。本建物は,運用実績として,建物全体の消費エネルギーの 75%超の削減と,屋上・外壁面に設置した太陽光発電によるエネルギー生成により,年間エネルギー収支0以上を達成した希少な事例である。本報では,実績データに基づくエネルギー性能分析を行うとともに,新たな評価指標として,エネルギー自立率(エネルギー消費量に占める生成エネルギーの自家消費量の割合)を提案し,年間エネルギー収支に加え,エネルギー自立の観点からZEBの評価を可能とした。本建物では,エネルギー自立率(総合)は0.35の実績である。