空気調和・衛生工学会 論文集
Online ISSN : 2424-0486
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学術論文
個室型ワークスペースにおける執務環境の改善に関する研究
第1報−パーソナル吹出口が執務者の覚醒度や作業パフォーマンスに与える影響
北 樹乃張 江梅原 啓輔永坂 茂之三浦 愛子李 相逸若林 斉
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2023 年 48 巻 312 号 p. 11-18

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抄録

本研究は風向可変式のパーソナル吹出口の冷風刺激が作業パフォーマンスや生理・心理応答に与える影響について検証することを目的とした。健康な成人18 名(内女性4 名,年齢38.4±10.4歳)を対象に,個室型ブース(室温約26°C)において90 分間座位安静にし,パーソナル吹出口による吹出の有無(吹出温度約22°C)の2 条件で認知課題を実施させた。吹出あり条件において,平均皮膚温および手背部温は低値を示し,背部-手背部皮膚温度差は高値を示した。また,認知課題成績は吹出あり条件において高値を示した。パーソナル吹出口の使用割合は顔周辺が最も高く,次いで手部が高い割合を示した。手部へのパーソナル吹出口使用割合が高い者ほど,交感神経活動の活性化が示された。これらの結果より,パーソナル吹出口の使用が末梢血管の収縮を促進し,交感神経活動を活性化したことによって覚醒度が維持され,作業パフォーマンスの向上に寄与したと考えられる。

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© 2023, The Society of Heating, Air-Conditioning and Sanitary Engineers of Japan
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