人間環境学研究
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人々は自由意志をどのように概念化しているか?
自由記述研究を通じて
渡辺 匠太田 紘史唐沢 かおり
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 17 巻 1 号 p. 79-84

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抄録
自由意志に関する信念は責任帰属や自己コントロールなど、われわれの社会生活で重要な機能を果たすことがこれまでに提起・実証されている。しかし、「自由意志」が何を意味するのか、という根本的な問題について、個々の研究者の想定は異なっている。そこで、本研究は人々の自由意志概念を構成する具体的な要素について、Monroe and Malle(2010)にもとづき、自由記述の方法を通じて検証をおこなった。大学生301名の回答をコーディングした結果、人々の自由意志概念の主要な要素は他行為可能性(「複数の行為が可能である」ということ)、行為者性(「自分の心理状態が行為を引き起こす」ということ)、制約からの自由(「内外の要因に制約されずに行動する」ということ)の3つであることが明らかになった。つまり、人々にとって自由意志とは、「何ものにも拘束されず、自分の心理状態にそって行為を選択する」ということを基本的に意味すると示唆される。これらの結果にもとづき、考察では心理学の先行研究や哲学領域の知見との整合性について議論した。
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© 2019 人間環境学研究会

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