資源地質
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温川黒鉱鉱床および伊豆小笠原弧の海底熱水性鉱床に産する流体包有物のガス組成の特徴
佐々木 宗建飯笹 幸吉佐脇 貴幸
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1995 年 45 巻 249 号 p. 1-10

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抄録

黒鉱鉱床を形成した鉱液と現世の海底熱水性鉱床を形成している熱水とを比較するために,温川黒鉱鉱床の珪鉱産石英と,熱水性硫化物の沈澱が確認されている伊豆小笠原弧の明神礁海底カルデラおよび北ベヨネーズ海底カルデラ産の重晶石について,流体包有物の均質化温度と塩濃度の測定およびガス分析を行った.
温川鉱床産石英中の流体包有物は,均質化温度約105~305℃,塩濃度約3.2~7.0wt%であり,北ベヨネーズ産重晶石中の流体包有物は,均質化温度約150~215℃,塩濃度約3.0~5.0wt%である.両鉱床に産する流体包有物の塩濃度は海水より高いものが多いが,これは流体中にCO2ガスが溶存しているためと推定される.これに対し,明神礁海底カルデラ産重晶石中の流体包有物は,均質化温度約245~305℃,塩濃度約2.2~4.2wt%であり,流体包有物の多くは海水より低い塩濃度を示す.明神礁カルデラでは,鉱液は海底下で沸騰しており,その際に生じた低塩濃度の蒸気が海水と混合しつつ上昇し海底に噴出していたと考えられる.
各鉱床から採取した石英および重晶石中の流体包有物は,類似したガス組成を有する.その組成はH2Oを主とし,CO2は0.2~0.6mol%,N2は0.02~0.07mol%, CH4は0.001~0.007mol%, Arは0.004mol%以下である.研究の対象とした鉱床間におけるガス組成の類似性は,黒鉱鉱床を含む島弧に発達した海底熱水性鉱床の一つの特徴であると考えられる.

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