資源と素材
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論文
軟岩に適したオーバーコアリング法による応力測定システムの開発
Hem Nath GHIMIRE石島 洋二菅原 隆之中間 茂雄
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2004 年 120 巻 1 号 p. 32-38

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抄録
従来得られている地圧データの大部分は硬岩や中硬岩を対象としたものである。したがって,軟岩に適した地圧測定法の開発が望まれる。オーバーコアリングに伴う7 成分のパイロットボアホールの径変化や軸変位を測定し,この測定データを記録する小型データロガーを内蔵した地圧計を開発した。これらの変形データを弾性解析解に基づく観測方程式に代入することにより岩盤中の3次元応力が決定される。地圧計は40mm 径のパイロットボアホールに挿入するが,孔の状態は乾燥・湿潤のいずれでもかまわない。この地圧計の特徴は小型・簡便で繰り返し使用でき,ボアホールの任意の深度に挿入することが可能で,測定器の挿入と回収作業時間が短時間で済み,測定器挿入後直ちにオーバーコアリング作業に取り掛かれるために高能率であることである。さらに,地圧計が中に入ったコアを用いて岩石の弾性係数を評価することができる。この測定システムは特に軟岩の測定に適しているが,地圧計は高感度のためにどのような岩種に対しても適用可能である。
この応力測定システムの機能を模擬するために,傾きの異なる40mm 径のボアホールを持った溶結凝灰岩ブロック(40cm × 40cm × 40cm) 3 個を用いて室内試験を行った。地圧計をボアホール内に入れ,応力解放を模擬するために,2 回の載荷除荷を行った。同時に,上記の方法により岩石の弾性係数を評価した。3 ケースとも計算して得た応力は負荷した応力と良い一致を見せ,地圧計は所期の機能を発揮することが分かった。
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© 2004 by The Mining and Materials Processing Institute of Japan
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