2020 年 63 巻 3 号 p. 228-235
目的 : 本研究は, WaveOne Gold (WOG) による根管形成時のファイル回転力 (トルク) と形成能力を検討することを目的として, 2種類のグライドパス形成時とグライドパス未形成時で解析した.
材料と方法 : 根管形成にはエンドトレーニングブロックを使用し, グライドパス形成群 (ProGlider (PG), WaveOne Gold Glider (WGG)), およびグライドパス未形成群の3群に分類した. 各群は, WOGによる根管形成の対照群としてProTaper Next (PTN) による根管形成を加えて, 合計6群で比較検討した. 各実験群は, 根管形成時間とファイルトルク値を測定した. さらに, 2種類のグライドパス形成群とグライドパス未形成群間で根管形成後の根管中央値を測定した.
結果 : WOGの根管形成時間とファイル総トルク値は, PGおよびWGGファイルによるグライドパス形成によって顕著に減少した (p<0.05). WOGはグライドパスの相違にかかわらず, PTNよりも高い最大トルク値を示した (p<0.05). WOGによる根管形成後の根管中央値は, PGおよびWGGファイルによるグライドパス形成後にグライドパス未形成と比較して有意に減少した. 一方, PTNによる根管形成後の中央値はグライドパス形成の有無にかかわらず有意差が認められなかった.
結論 : WOGファイルによる根管形成はグライドパス形成 (PG, WGG) によって, 根管形成時間, ファイルトルク値, および根管形成変移量が顕著に減少することが示された.