歯科医学
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矯正力荷重時におけるスクリュー型Temporary Anchorage Device (TAD)の内部発生応力について
親里 嘉方岡下 慎太郎居波 薫神原 敏之川本 達雄
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2006 年 69 巻 3_4 号 p. 151-159

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抄録
近年,確実な顎骨内固定としてチタンスクリュー等のTemporary Anchorage Device (TAD)を用いた歯科矯正治療法が臨床で応用されている.
  今回,スクリュー型TADの形態と牽引方向の相違が,矯正力荷重時のスクリュー内部発生応力にどのように影響するかを3次元有限要素法により検討した.
  スクリュー体は,すべてチタン製とし,形態の異なる4タイプとした.また,歯槽骨は皮質骨を1mm,それ以外の部位を海綿骨と規定した.
  解析モデルは,3次元ソリッドモデラーで作成した.応力はスクリュー型TADのスクリューの長軸に対して上方45°,と上方22.5°,垂直方向(0°),下方22.5°,および下方45°の5方向への荷重とし,解析には汎用構造解析プログラムを用いて線形静解析を行った.
  その結果,すべてのタイプのTADで荷重部位から反対側の皮質骨相当部位方向への引っ張り応力の流れが認められた.また,スクリューの形態による相違ではスレンダー・シリンダータイプの内部応力が極端に大きく,コニカルタイプが最も小さかった.シリンダータイプとショート・シリンダータイプ間では,大きな相違は認められなかった.荷重方向の相違による発生内部応力は,すべてのタイプのスクリューで上方45°牽引の場合が最も小さかった.
  以上のことより,スクリュー型TADの内部応力はスクリュー体の直径が影響すること,また,牽引方向はスクリューに対して上方向のほうが内部応力が抑えられることが示唆された.
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© 2006 大阪歯科学会
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