歯科医学
Online ISSN : 2189-647X
Print ISSN : 0030-6150
ISSN-L : 0030-6150
Er:YAGレーザーによるHydroxyapatiteの切削に対する水の影響
福岡 哲郎辻林 徹柿本 和俊亀水 忠宗岡崎 定司豊田 紘一小正 裕
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 70 巻 3_4 号 p. 212-221

詳細
抄録

臨床でEr:YAGレーザーを用いて歯を切削するとき,外部から注水しながら行うのが通例である.それは,切削効率が向上するためであるが,その役割については議論がある.歯の硬組織にもともと水分子が含まれていることがその混乱の一因である.そこで,ヒドロキシアパタイト(HAP)およびフルオロアパタイト(FAP)で作製した多孔質セラミックスをレーザーで切削するときの水分子の役割を調べた.実験に用いる試料はレーザー照射前に水に浸し,空隙が水で満たされるようにした.切削に対する水分子の寄与について,試料内部の水分子による効果と外部のものによる効果を区別するために,通常の水(軽水)と重水を使用した.レーザー照射は軽水,重水あるいは大気中にて行った.HAPの切削効率を最も大きく左右する要因は,試料の内部に含まれている水であった.内部に水分子が存在しないとき,外側の水分子によって切削効果が,向上することがわかった.HAPとFAPの切削痕の形状は大きく異なるので,HAPの水酸基が切削に寄与していると考えられる.

著者関連情報
© 2007 大阪歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top