歯科医学
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義歯リライニングの効果に関する筋電図学的分析
加藤 尚前田 照太井上 宏
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2008 年 71 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

粘膜支持を含む可撤性局部床義歯において,義歯装着後に生じる歯槽骨の吸収などにより,義歯床下粘膜への適合性が経年的に低下することは避けられない.義歯不適合に対する処置として,リライニングはよく行われているが,リライニング後の義歯の機能評価についての研究は少ない.そこで,本研究はリライニングの効果について筋電図学的に明らかにすることを目的として行った.被験者は,遊離端欠損部に可撤性局部床義歯が装着されておリ,適合検査を行った上でリライニングが必要であると診断され,残存歯および対合歯の状態が天然歯もしくは固定性修復物による適切な処置が施されている男性4名,女性4名の計8名とし,リライニング直前,直後,1週後,2週後に両側の咬筋中央部,側頭筋前部の表面筋電図を計測した.被験運動はタッピング,レーズンおよびピーナツ咀嚼,クレンチングであった.その結果,ピーナッツ咀嚼において時間的要素のCVはリライニング直前と比較して1週後,2週後で有意に減少した.積分値ではリライニング直前と比較してリライニング直後で有意に増加した.積分値のCVではリライニング直前と比較してリライニング直後,1週後,2週後で有意に減少した.レーズン咀嚼において時間的要素のCVはintervalおよびcycle timeのCVでリライニング直前と比較してリライニング直後,1週後,2週後で有意に減少した.積分値ではリライニング直前と比較してリライニング直後で有意に増加した.積分値のCVではリライニング直前と比較してリライニング直後,1週後,2週後で,リライニング直後と比較して1週後,2週後で有意に減少した.クレンチングの平均電位がリライニング前後で有意に増加した.以上のことからリライニングの効果が筋電図学的に咀嚼運動時の時間的要素および積分値のCVの減少,咀嚼運動時の積分値およびクレンチング時の平均電位の増加から裏付けられた.

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© 2008 大阪歯科学会
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