歯科医学
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大阪歯科大学附属病院ドライマウス外来における初診患者の特徴
奥野 健太郎髙橋 一也岸本 直子中嶋 正博
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2019 年 82 巻 2 号 p. 51-55

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抄録

近年,急速に進む高齢化により有病者数の増加や社会生活における様々なストレスの増加,不規則な食生活から,口腔乾燥症(ドライマウス)を主訴に来院する患者が増加している.今回,近年の大阪歯科大学附属病院ドライマウス外来の診療状況を把握することを目的に,初診患者の基礎的データを収集し,臨床的検討を行ったので報告する. 2017年4月1日から2018年3月31日までに,ドライマウス外来を受診した初診患者を対象とした.診療録から初診時の年齢,性別,自覚症状,服用薬数と服用薬,合併症,安静時唾液量,ガムテストによる刺激時唾液量を抽出し,各項目を調査した.初診患者の総数は73名(男性14名,女性59名)であった.平均年齢は67±14歳であり,70代が29名と最も患者数が多かった.安静時唾液量は1.2±2.2mL/15min,ガムテストによる刺激時唾液量は6.5±5.9mL/10minであった.服用薬の平均数は4.2±3.9剤であった.初診患者の内,シェーグレン症候群の患者は15名であった.もっとも頻度の高い自覚症状は「口腔乾燥感」で67.1%,次いで「舌痛」39.7%,「夜間の口腔乾燥感」21.9%,「味覚異常」21.9%,「口腔違和感」17.8%であった.合併する全身疾患は,高血圧の合併が最も多く34.2%であり,次いで精神疾患(27.4%),消化器疾患(19.2%),骨粗鬆症(16.4%)であった.ドライマウスには全身的因子,局所的因子など様々な要因が関与しており,患者が自覚する症状も多岐にわたる.根治療法は難しいが,適切な対処療法により,日々のQOLは大幅に向上する.今後,ますます高齢化が進む中,ドライマウス患者への適切な診断と対応が求められ,歯科が果たす役割は大きいと思われる.

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© 2019 大阪歯科学会
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