歯科医学
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「齒科レントゲン學」と「歯科放射線学」の比較
図書に基づいた歯科放射線学の歴史的変遷
小滝 真也清水谷 公成
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2019 年 82 巻 2 号 p. 63-71

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抄録

1895年Wilhelm Conrad Röentgenによって発見されたエックス線は歯学分野でも応用されることとなり,本邦においても1916年に藤浪剛一と照内昇による歯科放射線学における最初の成書である「齒科レントゲン學」が出版された.現在まで日本の歯学における歯科放射線学は100年以上の歴史を持ち,その間に出版された歯科放射線学に関する書籍は100冊以上にのぼる.しかしながら,歯科放射線学に関する書籍の研究や「齒科レントゲン學」に言及された研究はほとんどない.それゆえ,今回我々は,まず現在までに出版された歯科放射線学に関する書籍の目録を作成した.次に歯科放射線の代表的な書籍である「齒科レントゲン學」と「歯科放射線学」の内容を比較することで歯学分野における放射線利用と教育内容の変遷を記述した.その結果,2018年2月までに出版された歯科放射線に関する書籍は124冊であった.また「齒科レントゲン學」と「歯科放射線学」を比較した結果,口内法エックス線撮影に関しては,100年前から現在とほぼ同じ画像が得られていた.しかしながら,近年における急速な放射線機器の進歩により,画像診断,放射線防護,放射線治療,放射線生物の分野ではいずれも著しい発展がみられ,歯科放射線学は歯や顎骨といった硬組織のみならず,口腔・顎顔面領域の軟組織を含めた領域も対象とする分野へと展開してきた.

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© 2019 大阪歯科学会
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