2010 年 83 巻 12 号 p. 522-529
固体表面の濡れは,ヤングの式を基にして接触角の測定などから得られる,いわゆる“静的な”濡れ特性と,固体表面の組成や構造との関係がおもに検討され,表面組成・表面の粗さや形状・電界等の外部場などが影響することが知られている。接触角が150°を超える超撥水性表面の作製事例が報告されており,幅広く応用が期待されている。本稿では,超撥水性表面の流動抵抗の低減効果を定量的・視覚的に捉えた研究成果を中心に,“水滴転落挙動の物理モデル”,“電場で水滴が移動する際の流動状態と駆動メカニズム”,“水流中における空気層の保持性”について紹介する。