色材協会誌
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研究論文
非弾性電子トンネル分光法と原子間力顕微鏡による鉛薄膜における極性分子の浸透に関する研究
肥後 盛秀池田 陽一木戸口 俊一満塩 勝吉留 俊史
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2010 年 83 巻 6 号 p. 249-255

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抄録

非弾性電子トンネル分光法(IETS)と原子間力顕微鏡(AFM)を用いて,鉛トップ電極をもつアルミナ接合における水,ギ酸,酢酸,メタンスルホン酸の鉛薄膜を通しての浸透(注入ドープ)に関する研究を行った。各種膜厚の鉛薄膜の抵抗測定,水の浸透による接合抵抗の変化,アルミナ絶縁層のトンネルスペクトルの解析,さらに鉛薄膜のAFMによる形態観察により,鉛トップ電極の粒界を水分子が浸食しながら接合内部に浸透し,アルミナ絶縁層が成長することを確認した。浸透したギ酸,酢酸,メタンスルホン酸のトンネルスペクトルの解析と鉛薄膜のAFMによる形態観察により,これらの有機酸は水分子とともに鉛トップ電極の粒界を通って接合内部に浸透し,アルミナの表面水酸基と反応して生成したルイス酸点(Al)上に陰イオン状態で吸着されることがわかった。

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© 2010 一般社団法人 色材協会
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