色材協会誌
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解説
傾斜切削機を用いた塗膜の深さ方向分析
江崎 泰雄辻 正男
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2010 年 83 巻 6 号 p. 270-275

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抄録

塗膜の諸特性や劣化状態を評価するうえで,塗膜の表面から内部への組成・構造情報を正確に把握することが重要である。しかし,塗膜のような薄膜試料の場合,その深さ方向の分析を精度良く行うことは容易ではなかった。そこで筆者らは深さ方向分析の高分解能化を達成するツールとして傾斜切削機を開発した。本機は試料表面上に小さな角度で傾斜した切削面を作製するものである。この傾斜切削面上には試料の深さ情報が拡大されているため,この切削面を分析することによって高分解能な深さ方向分析が可能になる。本稿では,開発した傾斜切削機の技術的特徴について開発経緯を含めて解説する。また,塗膜の欠陥検査,材質調査,劣化機構解析などへの適用例を通して自動車用塗膜の研究開発への有用性を紹介する。

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© 2010 一般社団法人 色材協会
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