2010 年 83 巻 6 号 p. 263-269
多官能二級チオールは,チオール基周りの立体障害により,モノマーへの熱付加反応(保存時のゲル化)を抑制することができる。多官能二級チオールをモノマーに添加することで,UV硬化反応における酸素による重合阻害が抑制され,かつエン-チオール反応により高い硬化性が得られることが示された。また,反応挙動の追跡により,多官能二級チオールとモノマーとの配合に最適値が存在することも示された。さらに,この多官能二級チオールを添加した硬化組成物は,密着強度,硬化収縮あるいは柔軟性など,UV硬化システムで必要とされるさまざまな特性の向上が見いだされた。一方,多官能二級チオールの構造に,芳香環骨格およびエーテル骨格を導入することで,耐熱性および耐吸水性などの特性を付与することができた。