2012 年 85 巻 9 号 p. 384-388
化粧品は,消費者の生活の質の向上を担っている一般消費財であり,消費者ニーズに応え得る機能とともに,高い安全性が要求される。微粒子酸化チタンなどのナノマテリアルは,そのような化粧品機能の一翼を担う素材として活用されている。近年,ナノマテリアルの安全性研究が進められており,日本化粧品工業連合会においても,消費者に安心して化粧品を使用していただけるように,安全性評価にかかわる独自の研究を進めてきている。本講座では,安全性評価にかかわる事項,すなわち化粧品におけるナノマテリアルの使用実態調査,化粧品のおもな曝露様式である経皮曝露に関連した皮膚上におけるナノマテリアルの存在状態の解析,経皮吸収性,経皮発がん性評価などについて,最も汎用されている酸化チタンを中心として,日本化粧品工業連合会における取り組みについて解説した。