色材協会誌
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解説
捺染業から見たインクジェット
伊藤 高廣
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2016 年 89 巻 10 号 p. 345-349

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抄録

インクジェットプリントは,電子技術の革新的進歩とともに大いなる発展を遂げた。それにともない,テキスタイル業界でも,従来捺染機からインクジェット捺染機への置き換えに拍車がかかるものと期待されている。インクジェットに関する技術情報はその製造メーカーから頻繁に発信されているものの,インクジェット機の使用者である捺染業からはわずかである。ここでは,捺染に携わった技術者の立場から,セルロース,とりわけ,綿素材の加工に焦点を当てて,インクジェットプリントに及ぼす影響について概説した。まず,各加工工程,すなわち,前工程,前処理,捺染,固着,洗浄,仕上の基本的役割を説明した。いずれの工程もインクジェットの品質,色濃度と再現性に大きくかかわり,従来捺染以上に各工程の品質を安定させることは重要である。色素に関しては,インクジェット用の基本色CMYKのうちシアン色であるTurquoise染料は固着が遅いなど,取り扱いに留意しなければならない。この対策の決めては,プリント前後工程の前処理とスチーム処理である。

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© 2016 一般社団法人 色材協会
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