2016 年 89 巻 10 号 p. 350-355
機能性微粒子の応用は実にさまざまな分野に及んでいる。微粒子を材料として用いる場合,その化学的,物理的性質は一般にその大きさに依存するため,均一な特性の微粒子を作製するには,粒径の揃った単分散性粒子の合成が必要となる。またプロセスとしての応用を考えれば,環境に優しいプロセスの利用が望ましい。ここでは,最近の研究に焦点を当て,低環境負荷プロセスによる単分散性微粒子の粒径制御法について紹介する。また,多機能性化を図るための微粒子複合化の例として,球形の単核や多核のコア・シェル型,非球形コア・シェル型,中空型,ならびに単分散液滴を利用する微粒子の合成を紹介し,環境適合型のプロセスによって,今では精密で,多様な構造制御が可能となっていることを解説する。