酸素検知剤への応用のため,中性および塩基性のメチレンブルー水溶液を紙に含浸し,紙中におけるメチレンブルーの挙動を反射スペクトルで研究した。中性水溶液の場合,紙中のメチレンブルーのスペクトルは乾燥時間とともに単量体の強度が二量体の強度に比べて相対的に強くなった。セルロース細孔に拡散したメチレンブルーが,乾燥していく過程で吸着して分散が進んだものと考えられる。塩基性水溶液は,水酸化物イオンの効果で脱メチル化反応が進み,約1時間でアズールCへ変化するが,紙に含浸すると反応は遅くなり,約1月後にアズールCへ変化した。メチレンブルーを用いて酸素検知剤を作製した。これを脱酸素状態にすると青色が消えた。103日後に開封すると,5分後に青色を示し,スペクトルもメチレンブルーと同じであった。脱酸素状態では,メチレンブルーが還元型のロイコメチレンブルーになることで,脱メチル化反応の進行が抑制されたと考えられる。