色材協会誌
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塗装技術講座 自動車業界の生産技術(第1~2講)
燃料タンク高外観塗装システムの開発
都築 正世
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2023 年 96 巻 1 号 p. 31-37

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抄録

本田技研工業株式会社は,長年,バイクの「顔」である燃料タンクの高外観塗装に取り組んできた。なかでも1988年に他社に先駆けて浜松製作所に導入した燃料タンク高外観塗装システムの初号機は,燃料タンクの連続回転塗装に熱硬化併用紫外線硬化型塗料を用いることで一度の塗装で塗料のタレ限界を超えた厚膜塗装を可能にする画期的なものであった。その後,製品仕様多様化にともない外観品質に,タンク形状によるレベル差が確認され,さらに初号機の特許も切れ,他社への優位性が失われていた。2008年国内拠点集約にともなう熊本製作所内への新工場建設に際し,初号機の課題に対する要因解析結果から,①最適塗装方法として三面停止による形状追従性を高めたタレ限界コントロールシステム,および②最適塗膜硬化方法として乾燥炉のゾーン別環境制御による塗膜収縮コントロールシステムの開発に取り組み,世界トップレベルの燃料タンク高外観塗装を達成した。

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